生物の行動原理は遺伝子を残すことである、というのがリチャード・ドーキンス以降の進化生物学の基本的な見方でありますが、寝取られという性的嗜好はその観点からすると奇妙なものです。
NTRを好む心理について、非常に興味深い研究があったので、以下で簡単にまとめます。
参考元:
NTR に関する実証研究―進化心理学の観点から―,変態学研究会
この研究では、NTRに対して性的興奮を感じる人の心理について研究しています。
研究では、妻が上司に寝取られる、というよくあるNTRシナリオについて、被験者にアンケートを取ることで分析しています。
以下の表は、このシナリオについて感情移入の対象と性的興奮の元になる要素について整理したものです
感情移入の対象 | NTRに求めるもの |
寝取る上司(プレイヤーA) | 性的優越感 |
妻(プレイヤーB) | 性的快楽 |
寝取られる夫(プレイヤーC) | 性的関心、マゾヒズム的快楽 |
この整理と進化心理学の知見に基づいて、以下の4つの仮設について検証しています。
仮説1
プレイヤーAに感情移入するほど,NTRは選好される
仮説2
プレイヤーCに感情移入するほど,NTRは選好されない
仮説3
NTRによって性的優越感を感じるほど,NTRは選好される
仮説4
NTRによってマゾヒズム的快楽を感じるほど,NTRは選好されない
これに対する検証結果は以下の通り。
内容 | 女性 | 男性 | |
仮説1 | プレイヤーAに感情移入するほど,NTRは選好される | △ | 〇 |
仮説2 | プレイヤーCに感情移入するほど,NTRは選好されない | × | × |
仮説3 | NTRによって性的優越感を感じるほど,NTRは選好される | 〇 | × |
仮説4 | NTRによってマゾヒズム的快楽を感じるほど,NTRは選好されない | × | × |
仮説1は支持、すなわち寝取る側に感情移入する寝取り好きはNTRを好むようです。
まあこれは、当然だと思う方が多いでしょう。
仮説2は不支持、すなわち寝取られる側に感情移入するからといって、NTR嫌いになるとはいえないようです。
そうですよね。
NTR愛好家は、寝取られる側に感情移入する方、多いと思います。
仮説3は女性において支持。
性的優越感、つまり寝取る男と寝取られる男の2人と関係を持っているモテ女の立場が好き、ということですね。
NTR好きの男性は、性的優越感を感じたい女性をパートナーにすると良いかもしれませんね!(笑)
仮説4は不支持。
これも仮説2の不支持と似たような印象ですね。
マゾヒズム的快楽が大きい、すなわち寝取られる男側が女への愛情が深い話ほど、抜けますよね。(笑)
まとめ
今回の研究で判明したこととしては、次の2点です。
1.寝取る側に感情移入する人はNTRを好む傾向にある。
2.しかし、寝取られる側に感情移入するからといって、NTRを嫌うとは限らない。
また、寝取られる側に感情移入する人でNTRを好む場合は、マゾヒズム的快楽が理由ではないかと考察されています。
最後に、論文からぜひとも共有したい部分を紹介します。
NTR には性的優越感とマゾヒズム的快楽という2つの嗜好に対して訴求力を有すると考えられる。
NTR に関する実証研究―進化心理学の観点から―,変態学研究会
そして,このような相反する 2つの嗜好に同時に訴えかける力を有することで,単に 1つの嗜好に対してしか訴求力を有しない性的ジャンルと比べて相対的に大きな人気を博したのではないかと考えられる。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
ぜひ、ネタ元の論文、NTR に関する実証研究―進化心理学の観点から―,変態学研究会、も読んでみてください!